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2020年美容業界は勝ち組みになれたのか!?

「まさかこんな年になるなんて」と誰もが思ったことでしょう。2020年、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、さまざまな日本のカルチャーが世界に発信される年……だったのに。世界中で感染拡大したコロナウイルスの影響でオリンピック・パラリンピックは延期。外出自粛・在宅勤務・ソーシャルディスタンスなど、これほどまでに生活がガラリと変わってしまうなんて……。当たり前のことが叶わない現実に誰もが戸惑ったと思います。

 

コロナの影響はやっぱり大きかった

感染拡大を予防するため外出自粛要請が発表されるといの一番に飲食業が大打撃を受けました。レストランを経営している友人は「こういう時は飲食業が一番最初に影響を受ける」と対応に追われていました。また、イベント会社に勤める友人は「秋までびっしり埋まっていたイベントがあっという間になくなったんだ。真っ白になったカレンダーを見たのは入社以来初めて」と寂しそうに言っていました。


コロナの影響はファッション・美容業界にも大きな打撃を与えました。外に出ないと着飾る・化粧をする必要がなくなるため、モノが売れなくなりました。さらに追い討ちをかけたのがマスク生活。「顔の半分以上を占め、さらに1日中つけているから化粧をする気なんて失せるよね」と話す友人。
最近、どこかの番組で「今年もっとも売れなかったモノ」というランキングを紹介していましたが、口紅やファンデーションが上位を占めるという……「コロナに負けた業界」とでも言わんばかりの悲しい結果に。

 

コロナ禍でも根強く残る美容習慣

でも、本当に負け組みなのかしら? ビューティだってこんな時だからこそできた事もあるのでは? 私自身もそうでしたが、コロナ禍で見直した「美容習慣」でした。家にいる時間が増えたおかげで「話題になっている美容液に切り替えてみよう」とか「あのシートマスクを試してみよう」など、今まで以上にスキンケアに手間と時間をかけることができるように。するとおもしろいように肌コンディションが上がっていきました。そうなると気持ちが上がるんですよね。朝起きて、洗顔して、肌のコンディションが良いと1日のスタートが晴れやかになる。「肌と心は一体」という言葉を耳にしますが、まさに! 肌と心は密接に繋がっている、よく言い当てていますよね。

そうなると次々に欲が出てきて、今後は髪や頭皮のお手入れも入念に。すると、あんなに悩んでいたパサつき・広がり・くせ毛もスタイリングしやすい素直な髪へ。この変化には自分でも驚きました。
忙しさを理由にしてお手入れがおざなりになっていたのは事実。年齢のせい、時間のせいにしていたけれど、この自粛期間で自分を見直すこと、手をかけることの大切さを知ったという女性も多かったのではないでしょうか?

コロナを機に生まれる新たなビューティトレンド

もうひとつ、実感したのはコロナを機に変わる美容様式。2020年は当たり前のことが当たり前にできないことを痛感した年でもありましたね。その中で変化に対応し、新たに生まれたアイテムや様式・ビジネスがありました。
例えば「マスクメイク」。今年は美容とマスクがセットになって紹介されることがとにかく多かったですね。情報番組では「マスク荒れ」なんて言葉も耳にしたし、これらが流行語大賞にノミネートされなかったことが不思議なくらい。

マスク移りのない化粧下地やファンデーションについては、今後も当たり前の機能として研究が進められていくでしょう。日本には花粉症という、これまたマスクとは切っても切れないやっかいなアレルギーがあります。「ファンデが取れるのが嫌」とマスクを拒んでいた女性も今後は抵抗がなくなるでしょうし、色が落ちない口紅や色がついたリップクリームなどの商品ラインナップも大幅に増えていくと思います。

また「マスク荒れ」対策アイテムも増えるのでは? 例えば、保湿クリームやバーム・オイル美容液などは、ちょっとした環境の変化で肌が乾燥したり、荒れたりした時のレスキューコスメとして活躍しそう。……例えコロナが終息した後でも、環境に対応して使えるコスメとして生き残っていきそうですね。

この「ちょっと」に対応するといえば、少量や使い捨てパウチタイプだったりすればなお良し。実はマスク荒れで美容クリニックで治療をしてもらった時、保湿クリームを小さなケースに入れて持ち帰らせてくれたのが思いのほか便利で役に立ったんです。地球にも優しいエコな原料で作られたパッケージであれば、もっと嬉しいですね。

また、美容業界でも「デジタル」や「オンライン」を上手に活用する場が多く持たれました。2年ほど前にデジタルカウンターの取材をしたことがありましたが、当時は画期的な手法だとわかっていても、美容業界全体がまだ模索中で手を出せないという印象でした。ですが、このコロナの影響で一気に加速することに。今やほとんどのカウンターでこれらのシステムを導入し、テスター台の代替えとして活躍しているそう。専用アプリをスマホにダウンロードすれば、お試し後にポチっと購入……店頭に行かなくてもコスメが買える時代は確実にやってきていますね。

このコロナ禍で負け組に仕分けされた感がありますが、時代のニーズに合わせ、時には寄り添うように、時にはあっと言わせる斬新さでキレイの提案をし続けてきた美容業界。このコロナ禍でも新たな様式がたくさん生まれているのも事実。
そんな時、とある化粧品ブランドの広告が目に止まりました。
「ビューティはこれからだ!」
そう、ビューティはそうでなくっちゃ! 2021年は新しい製品に、様式にワクワクする。そんな時代に期待したいですね。


美容エディター・ライター
長谷川真弓